マルセイユタロットの小アルカナの概要をまとめました。
Card images are©Copyright Lo Scarabeo/GOLDEN TAROT OF MARSEILLE, TAROT OF MARSEILLE Mini
小アルカナの構成
小アルカナは全部で56枚あり、4つのスートに分かれています。
コイン(金貨)・カップ(杯)・バトン(棒)・ソード(剣)の各スート14枚で構成されています。
14枚のうち、4枚はコートカードと言って、キング・クイーン・ナイト・ペイジの4人の人物が描かれています。
残りの10枚は、エース(1番)から始まり10番までの数札となります。
マルセイユ版の数札はエレメントが個数分描かれているだけになっています。
各スートの意味
4つのスートにはそれぞれ意味するものがあります。
また、これらは四大元素のエレメントと対応していると言われるのが一般的です。
※四大元素(四元素)は古代ギリシャの哲学者たちより提唱されたという、自然界を構成する四つの要素で「地・水・火・風」のこと。
コイン(金貨)は、物質面や経済面を示します。コインは現にあるもので、積もれば重たく、移動させるなら物理的に移動させる必要があるので、不動産を示したりもします。コインは丸く、コロコロと転がっていくイメージもあるため、簡単に無くなる(失う)ものでもあり、まさにお金の循環も意味します。四大元素では「地」に該当しています。
カップ(杯)は心や感情を示しています。カップの中身が水で満杯だとすればそれは心が満たされているということ。満杯にさらに注がれるような状態であればカップから流れていく水が、まるで幸福が周囲の人へも流れていくようなイメージです。逆位置で出るとカップは逆さまになり、水をそそぐことすらできないため、心が乾いている状態、心を閉ざしている可能性などと読むことができます。四大元素では「水」に該当しています。
バトン(棒)は社会性を示しています。バトンを渡すと言うように世代交代など、社会的地位、仕事、人間関係、周囲からの評価などを読むことができます。くるくると回すことができるバトンは、運命の流れみたいなものも感じさせます。はたまた警棒などのイメージから、相手を攻撃することも、自分を守ることもできるでしょう。聖火トーチと似ている雰囲気があり、まさに四大元素の「火」の意味も含まれます。四大元素では「火」に該当しています。
ソード(剣)は戦いを示します。試練や精神性、知性、判断、ライバル、などを読むことができます。逆位置で出れば自分に剣先が向くことから、痛みなどを表すこともあります。剣を振ると風を切ることができるため、自分の行いで現実(風向き、空気)を変えるきっかけを掴むことも。剣が作られる工程やその見た目から、真っすぐ、一途、職人を示すこともあります。四大元素では「風(空気)」に該当しています。
ついでながら、大アルカナの最終カードであり、完全性を表す「世界」のカードには、これらの4つのエレメントが描かれています。
- 牡牛(左下)→【地】→コイン
- 鷲(右上)→【水】→カップ
- 獅子(右下)→【火】→バトン
- 天使のような人(左上)→【風】→ソード
コートカード
コートカードは宮廷(court)という意味で、宮廷の人物が描かれています。
キング・クイーン・ナイト・ペイジの絵からその雰囲気は分かりやすいです。
- 【キング】王、成熟した男性、年配の男性
- 【クイーン】女王、成熟した女性、年配の女性
- 【ナイト】騎士、馬に乗っている、青年
- 【ペイジ】従者、若者、子供
これらに、スートの意味を組み合わせるだけでも、いくつかの例が自然と浮かんできます。例えば、コインのキング。
コインは物質、キングは成熟した男性…ということから、このカードが示す人物が父親である可能性があります。
もしくはお金を持っている大人の男性ということで、商売人だったり、単にお金を貸してくれる人かもしれません。
バトンのペイジだったら、
バトンは社会性、ペイジは若者…から連想すると、新入社員を指しているかもしれません。
質問の内容から新入社員がお門違いなら、初心を忘れないでというアドバイスかもしれませんし、新たな気持ちでスタートしようという示しにも受け取ることができます。
また、スートの意味でもお伝えした四大元素が、コートカードにも対応するというのも一般的となっています。
- キング:火
- クイーン:水
- ナイト:風
- ペイジ:地
数字の解釈
小アルカナの数字の解釈は人によって全然違います。
最初はまとめられるだけまとめようと思いましたが、とてもまとめられるものじゃありませんでした。それくらいにあらゆる解釈があるようです。
そのため、私自身が学んできた中でしっくりくるもの、リーディングに役立っている解釈をピックアップしています。
こちらも参考程度にご覧ください。
- 【1】始まり、発端
- 【2】二面性、対局、バランス
- 【3】対立の統合、拡張
- 【4】実現、安定
- 【5】進歩、試練、知識
- 【6】調和、運命
- 【7】幸運、変化
- 【8】永遠、因果、秩序
- 【9】探求、終わりと再開、一人
- 【10】理想的、成功、物事が動く
おわりに
現時点でもウェイト版(ライダー版)タロットのほうが人気と言われるのには、全体的魅力も然ることながら、小アルカナ全てに情景が映し出されているというのは大きいのではないでしょうか。
もし初めてタロットを手にする方が、ウェイト版とマルセイユ版どちらかで迷っているなら、私もウェイト版をお勧めすると思います。
初めてカードを手にしたらまずは使ってみたいですし、知識がなくても自分のイマジネーションを起こしやすくしてくれる「絵」は重要です。
さらに知識を増やしたくなったら、ウェイト版の解説本は多く、小アルカナのキーワードまで内容が明確に書かれているからです。
マルセイユ版の小アルカナは、すでにお伝えしている通り、カードを見ただけではイメージしにくいため、まずは根本にここに上げたような自分なりの知識や解釈が必要になってきます。
ただし、自分の研究次第でその理解が深まったり、新たな象徴を見出すことができるのもまた、何とも言えないカードと自分だけの仲を深めていく楽しさがあるでしょう。