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運命を受け入れる

猫はライオンになれない。もちろん、ライオンも猫になれない。

なれないものになろうとすることが流れに逆らっているということ。

猫は猫でも黒猫が白猫になれないし、短毛が長毛になることもできない。

同じスコティッシュフォールドでも折れ耳は立ち耳になれない。

神経質な猫が鈍感になることも難しいし、人に懐かない猫に甘えろと言っても難しい。

運命を受け入れなければその道は見えてきません。

「自分」というものを無条件に受け止めていなければ、流れには乗れません。

素直に自分のありのままを認めることでやっと、その先へ進むことができるのです。

ありのままの自分が分からないという人もいるかもしれません。

もしそうだとしたら、あなたはあなたの目で自分を見ているのではなくて、他人の目に映る自分を見ていませんか。

私は子供の頃に友達と話をしていると、「そこ?」と言われることが多くありました。

要は友達が興味を持ってほしかったのは「そこじゃなくて」、期待通りに話がスムーズに進まないので残念に思われたのです。

「変わってるね」「いやいいわ」と言わせるのが申し訳なくなってくると、次第にしゃべりにくくなってしまい、今度は話を聞いてるばかりの私に「なんかないの?つまらないんだけど」と言われる。

心理でいうとそのような人達は甘えています。自分のことを理解し、期待通りに受け答えしてくれることを要求している「甘え」です。

これは子供の世界だからあるのではなくて、大人の世界でも当たり前に見受けられるのではないでしょうか。

私は社会人になってからも、自分の心ではなく、人の心を読み人の心に合わせる癖がついていました。

当然私にも「分かってもらいたい」という欲求はあれど、「立派で大人な自分」でありたいという自覚もあり、自分自身を抑えていました。

「話の分かる人」でいたいがために、自分を抑えた結果、押さえつけられたものはどこへいくと思いますか?

外側に投影され、他人の中にそれを見ようとします。

ですから他人の「こうなってほしいんだろうな」という視点で物事を解釈するのが当たり前となり、それが物差しとなって、自分が感じたことの誤った正解となっていくのです。

相手の本心も分からないことなのに、自分の本心なんて分かるわけがないループに陥っている、ひとつのよくある例だと思います。

他人を通して自分を見ているばかりでは、自分の心を見ることはできません。

そして自分を受け入れないで過ごしていくのはかなりのストレスで、心は極限まで不安定になります。

ですが人は気付きさえすれば、解決は程遠いものでもありません。

当時はここまで言葉での表現はできていませんでしたが、他人を介さずに「私」を直視すれば色々見えてきます。

自分が感じる相手の目から見た自分は錯覚だと言い聞かせました。実際に、他人の目に映る自分なんて、「真の自分か」という物差しで見るなら錯覚でしかありません。

自分はこう感じたけど「相手がどうかは分からないな」と、投影された抑圧を流してあげることによって、結局何事もなく事が運んでいくという経験も何度もしました。

そして他人の目を通すことをやめたことで物差しがなくなりますので、判断基準が「自分がどうなのか」に戻ってくるようになりました。

自分を受け入れることで心も安定し始めます。

世の中には自分の思い込みによる一人芝居で、問題を起こしていることも沢山あるということなのです。

親に愛されなかった人、親にどんな自分も受け止めてもらえなかった人も、自分には価値がないのだと思い込むに至り、他人の心を通して自分を見ることが癖付いているのかもしれません。

自分のことを自分の心で直接見れば、何も成し得てなくても自分の存在価値が分かってくるようになるかもしれません。

何も成し得そうにないありのままの自分にこそ価値があります。

それがあなたがあなたの運命の流れに乗るスタート地点となっています。

運命の流れに乗る感覚には抵抗がありません。

こうじゃないといやだというしがみつきがありません。

手放したくないものを沢山抱え込み、落としたり失うまで死守したところで、運命に逆行しているうちは余計に苦しむだけ。

流れに乗るというのは、自分に用意された人生を、自分の目で、自分の心でちゃんと歩むということです。

最後に、自殺はしてはいけません。

大変過酷な状況で悔しい思いや耐えられない思いをしたのかもしれないし、勢いだったのかもしれない。

ですが最後の最後まで僅かなエネルギーは「だったら自分はどうすれば生きていけるのか」に向いていなくてはいけません。

運命でいうならば、生かされているうちは「生」が第一優先、終わりの時は自分の意志で決められるものではなく、勝手に終わります。

その時まで生き抜くのもまたみんなの運命であり、使命です。

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