タクシー運転手と父の運命の出会い
まだずっと若い時の話ですが、道路上でタクシーに車をぶつけられたことがあります。
信号が青になってタクシーはそのまま行っちゃって、私は右折レーンにいたからクラクション鳴らすしかできず、でもそれにより皆が綺麗に止まってくれて(これも追えという運命だったような)、タクシーを追うことができました。
尾行中、会社に追ってるので遅れますという連絡と、父に車ぶつけられたよという連絡はしていました。
父も生涯無事故無違反でやり遂げたプロドライバーなんですが、だからというより、いつも私の車を大切に洗ってくれたりしていたので言わなきゃというのと、車をぶつけられたらどうすればいいんだっけ?と、この後の手順を確認していました。
タクシーがお客さん降ろしたところで運転手に駆け寄り「車ぶつけましたよね?」と話しかけました。
細かい話は省略しますが、全然認めてくれる態度ではありませんでした。
一緒に傷を探しても「ほら、ないじゃない。」「ぶつかってないよ。」言われてないけど「言いがかりだよ」という態度に感じ取れました。
私も不安になってきて、でもあの感触は絶対ぶつかってるのに…と思ってると、父から電話が。
「今から現場の近くに行くからそこに来てもらえ」と。
だけど私ハッとして。ここ、ドコ???(必死に追ってきて気付いたら知らない場所にいる笑)
こんな全力否定してる運転手もそんな面倒なことに付き合わないだろうと思いながら言うと、「じゃあ私が先行くから後ついてきな、お父さん来るんでしょ?」。え??
だから今思うとですが、この運転手の魂が父に会うことを望んでいたのかもしれない。この後の展開を思うと。
合流場所に着くなり父は、「あなた(運転手)ここ停めて、チエここ停めろ」とぶつけられた構図に車を配置し、両方の車の周りをそれぞれ一周しただけで、「ほら、ここに傷ついてる。タクシーのここにもがっつり傷ついてるしょ。高さも一緒じゃん。」と。
私と運転手が見つけられなかった傷を、私が電話で話していた情報だけで見つけたのでした。
突然の傷のご登場にタクシーの運転手も驚きと焦りを隠せない様子。
父が改めて「私こういうものです」と名刺を渡し、「私もプロドライバーなんですけどね、」から始まり、「あんたプロじゃないよ」とお叱りが始まりました。
傷を見つけられなかったことだけじゃなく、本来なら一般車を守りながら運転すべきところ、ぶつけた時に想定できる車間は何考えてんだと。お客さんも乗せてたんでしょ?怖い思いさせないで運ぶのがあんたの仕事なんじゃないの?それでうちの娘が言いがかりしてるような態度取って被害者面して、これで誰か怪我しましたってなってもあんたそうなの?そうなってからじゃ遅いんだよ?一般ドライバーのお手本になるような運転しないで、あんた何年やってんの!
と自分より白髪頭の運転手にどんどん詰め寄ってく父。
だけど、あれ?え?まさかの運転手の心に響いている。私に出してた心の壁が取っ払われて真に受けている。
それが父も分かったのか分かりませんがさらに語り続けます。「会社でこういう講習しないの?こういうこと教わらないの?色んな客、馬鹿みたいな運転する一般車もいるから大変さはよーく分かるよ。それでもね、プロドライバーはプロとして運転するのさ。ちゃんと見せてあげるのさ。それで皆も学んでくんだから。」
全然覚えてないんですけど、こんなのは表面の雰囲気を私が話してるだけで、もっと沢山のことを話してました。
途中、私も感化されて泣きそう(感動で)になったので車に乗って待ってました。一時間経たないくらい講習みたいなのをやったあと、そろそろ終わるなと外に出たら、運転手が私に駆け寄ってきて「本当にすみませんでした」と何度も頭を下げてくれました。
私も理解された運転手さんに感謝しました。
この運転手さんの最初の印象は嫌な人でしたが、魂が生きていたというか、そういう感じがありました。
運命ってこんな風に学ぶために起きてくれてるんですよね。



